FRETLANDによるVoyageライナーノーツ!

鬼怒無月

VOICE OF CALLING SUN
この曲は最初のアイデアは Punch Brothersのアンサンブルを聴いて衝撃を受けた所から始まりました。アコースティックの楽器アンサンブルで何かエフェクト処理をしたような効果を作れないか?という所から、ピアニストの林正樹くんが1人で付点8部のディレイをかけたようなプレイをするのを思い出し、2つの楽器のアンサンブルでそういうことができないかと考え、思いついたのが中間部の人力付点8部のディレイのパートです。その後はシングアロング風のサビを思いつき最終的にAパートを書いて出来上がりました。この曲は自分にとっても大事な曲でThe Duo、ERAでも録音していてこれは3回目の録音です。それぞれに良い出来なのですが、このFRETLANDバージョンは3本のフォークギターのアンサンブルで最高にゴージャスなバージョンになっています。

SPROUT!!
初期のFRETLANDがお世話になっていた茅ヶ崎のカフェの名前を冠した曲。
SPROUTでの演奏の前日に書きました。聞いているだけでワクワクするロックビートを3本のアコースティックギターで演奏することに主眼を置きつつ、曲のイメージはラリーコリエルやゲイリーバートン風のフォークジャズロック!!ソリストは竹中君と有田さん。2人の全身全霊のアコースティックロックギターソロは全てのギターファン必聴!

IntegerSet
この曲はもともとアルゼンチンのシンガーソングライター、フロレンシアルイスのために書いたが却下された曲が元になっています。もともとフロレンシアバンドのバンマスのヤヒロトモヒロさんから「キドッチ、ライブの最後でサビにメンバーの名前を当ててお客さんに歌わせて盛り上げられる曲作ってよ!」と言う要請に従って「ヤヒロトモヒロ」と言う語呂を当てたサビのメロディーから発展させた曲で、自分ではなかなか良いと思っていたのですがフロレンシアの「難しくて歌えない」と言う言葉であえなく却下。
そんな時に僕らのライブによく来てくれるお客さん達が楽器を持ち寄って開く演奏会用に「何か皆で演奏できる曲を作って下さい」と言うリクエストを受けたので件の曲をインスト曲として書き直した物を提出し、演奏会の主催の女性に「何か曲名をつけて下さい」とお願いしたところ返ってきたのがこの曲名でした。IntegerSetとは整数集合という数学用語で僕の既発曲のNullsetのアンサーソングという意味合いみたいです。3本のフォークギターのアンサンブルでフル編成のバンドに負けないロック的ダイナミズムを表現しようという試みは相当良い線いっていると思います。

有田純弘

Blacksburg
 
1979年、重たいバンジョーを片手に、アメリカン・ルーツ音楽である「ブルーグラス」発祥の地、米東南部アパラチア地方を旅しました。ビル・モンロー主催のフェスに始まり、半年に渡って各地のフェスで演奏。当時のレジェンドだけでなく、その後にレジェンドとなる同世代のミュージシャンと出会い、果てはローカル・バンドに加入したり‥。
この曲は、その後の人生を決定付けるものとなった旅のインスピレーションから生まれました。「アメリカ人の父」といえる恩人Calvin C. Robins氏に捧げたもので、曲名はバージニア州の街にちなんでいます。
もともとはアパラチアン・トラッド直球というイメージのマンドリン曲(アルバム“Whale Dance”に過去収録)でしたが、FRETLANDでのギター・バージョンでは、Tony Riceを想わせるNew Acousticな趣きのアレンジをしています。
 
Whiskey Before Breakfast
 
ブルーグラスの基本は、トラディショナル・フィドル・チューン。そのフィドル・チューンの「いろはのい」とも言える同曲は、フラット・ピッキング・スタイルのレジェンドNorman Blakeのギター演奏が最も知られているでしょう。
ベテラン・ギタリストが「部活」のごとく真摯に取り組むレパートリーとして、これ以上のものはありません。長年に渡り、何千何万というプレイヤーによって、微妙なバリエイションが生まれたであろうメロディ。そのメロディへのリスペクトが演奏から伝わればOK!ですよね。
 
Rythme Futur
 
ベルギー生まれの伝説的ギタリストDjango Reinhardtの1940年の作品です。マヌーシュ(フランス語を話すロマ民族をこう呼ぶ)であったジャンゴは、ヨーロッパ人として初めてアメリカの真似ではないジャズギターのスタイルを確立した偉大な人物として認識されます。彼の音楽は、ノスタルジックであると同時に、エキセントリックな斬新さに満ちています。アコギでジャズ、という時に「ジャンゴ・コンシャス」を欠いては片手落ちでしょう。という事で、とびきりユニークなこの曲にアプローチすることとなりました。
もともとはアドリブ・パートの無い曲(メロディだけで十分難しい)ですが、途中、有田〜竹中〜鬼怒の順で、ジャンゴがキャリアに沿って歩んだスタイルの進化、さらには、もし彼が現代に生きていたらどんな演奏をしただろう…と思わせるようなソロ・セクションのアレンジをしてみました。
 

竹中俊二

FRETLAND 楽曲解説「竹中俊二」

Voyage (Shuji Takenaka )

この曲は冒頭の騒然としたイントロは嵐の中を出港する中世の海賊船をイメージしてます。

海賊船 FRETLAND

そして其々の掛け合いを主題として楽曲が進んで行きます、これは航海の中で様々な出来事が即興と対話である事を表しています。

そしてコーラス部分で青空を疾走。

其々のソロは狩を表しています。
そして冒頭と同じテーマとコーラスの航路を通ってエンディングへ。
また激しい嵐で終わりますが、これは更に果てしない永遠の航海へ続く海賊船FRETLANDのプロローグなのです。

Dreams ( Shunji Takenaka )
1986年頃書いた曲、作曲としては初期の楽曲。
僕は心理学にかなり傾倒していた事があって、フロイト、ユング、アドラーなど、書物は随分読んで影響を受けてしまった。
中でも夢分析、夢はとても観念、無意識、日常の様々な要素と暗示の混ざり合った別次元の世界と考える事が出来る。
自分で内容を選ぶ事は出来ないし、非現実的な事も多々起こり得る。
この曲は緩やかで陽だまりの中の様な印象派の絵画の様な夢の中に居て、時折り現れるオーギュメントのコードが非現実的なアクシデントを表している。
とは言え、結局は夢の中での出来事はハッピーエンドに終わる。

WIND ( Shunji Takenaka)
まずオランダのアーティストの楽曲を聴いてる時にこの3拍子のグルーヴを思いついた。
後はスルスルと午後の風が吹く様にあっと言う間に曲は完成した。

夕暮れに差し掛かる微妙な午後の緩やかな風がイメージに出て来たのでタイトルもWINDとした。
ボーカリスト須田晶子が歌詞を書いてくれて、ボーカルバージョンもYouTubeにアップされているので是非聴いてみて欲しい。

Flying Periguns (Shunji Takenaka)
元々は長年活動してるPeriguns の為に書いたFunky Tune。

様々なFunk,R&Bの要素が散りばめられたエチュードになっている。
アコースティックギターでまるで打楽器が居る様な、バンドアンサンブルの様な雰囲気で出来るのではないか?と言う発想からFRETLAND でやっでみたらとても良いケミストリーが生まれたのでレパートリーに追加された。

Once in Heaven (Shunji Takenaka)
元々はアメリカ南部をイメージしたバラード。
メロディはシンプルだがハーモニーとリズムアレンジには様々な工夫を凝らしている。

タイトルを募集したらとても素敵なタイトルを付けて頂いた。

ライブ用にギラジルカに歌詞書いてもらい、歌ってもらったら神々しいゴスペルの様なパワーが生まれたのもこのタイトルの力が関係しているかも知れない。

音楽とは、個々のパーソナリティやイメージ、美意識、様々な経験と相乗効果から生まれる。
決して音だけでは表現出来る物ではないのだ。

First Step (Shunji Takenaka)
楽器の演奏技術は、楽曲を表現する為のテクニックを習得する為に筋力の鍛錬と筋肉の使い方、反射神経、そして音感、リズム感、想像力を必要とする。
実にスポーツに似ているではないか。

速いテンポの曲を克服する事は演奏活動をする上で最初の一歩だと思う、そんな思いからタイトルをFirst Step とした。
FRETLAND では毎回最速を目指してベストを尽くしている。

楽器はスポーツだ!

Voyage / FRETLAND

FRETLAND / Voyage

FRETLAND
鬼怒無月 Natsuki Kido (Guitar)
有田純弘 Yoshihiro Arita (Guitar, Banjo)   
竹中俊二 Shunji Takenaka (Guitar)

1 Voice of Calling Sun (Natsuki Kido)6:57
2 Voyage (Shunji Takenaka)6:21
3 Whiskey Before Breakfast (Trad.arranged by Yoshihiro Arita)3:06
4 Dreams (Shunji Takenaka)6:03
5 SPROUT!! (Natsuki Kido)3:40
6 Flying Periguns (Shunji Takenaka)6:56
7 First Step (Shunji Takenaka)5:41
8 Once in Heaven (Shunji Takenaka)9:09
9 Rythme Futur (Django Reinhardt)5:43
10 Blacksburg (Yoshihiro Arita)4:28
11 Wind (Shunji Takenaka)7:04
12 IntegerSet (Natsuki Kido)5:34

Produced, directed, arranged by FRETLAND

Kido played
Collings D1

Takenaka played
Breedlove AD25/SR and
No brand Chinese Martin Replica

Arita played
1991 John R.Zeidler Excalibur,
1947 C.F.Martin D-28,
Tacoma ECR-36C and
1969 Baldwin ODE Style-D banjo


Recorded at Studio Dede,Tokyo
July 30&31 2020

Recorded by 松下真也 Shinya Matsushita
Photographed & designed by スエイシナオヨシ Naoyoshi Sueishi

Artist manegement by 宮崎千秋 Chiaki Miyazaki / Pick One Artists & Management

Info:FRETLAND's land(facebook page)
https://www.facebook.com/FRETLANDs-LAND-268140183640570/

Thanks to :
Cafe Beulmans / Tsuyohide Yoshioka,
Elixir strings, KORG, YAMAHA,  ZOOM , Roland/Boss, Birdland Co. Ltd, HOSCO Inc., KIKUTANI MUSIC, KTS Products Inc., TAURUS corporation,
Ishibashi Gakki, Kurosawa Gakki,
Acoustic Guitar Magazine, Moon Shiner,
Ryota Takagami, Shinichi Suzuki, Takemori Komyo, Saburo Inoue and Tony Rice.
Special Thanks to ALL FANS & VENUES!

発売日 2021/8/2
レーベル名 FRETLAND Records
品番 FL-001
値段 ¥3000(税別)+税

このCDを権利者の許諾なく賃貸業に使用する事を禁じます。また、個人的に利用する場合を除いて、無断複製、ネットワーク等を通じ、このCDに収録された音を送信できる状態にすることは、著作権法上で禁じられています。

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